超音波ホッチキス「はるる」 AUH30 に特殊チップを取り付け溶着したときに生じた課題「溶着時間」解決を考える。
対象素材 | OPP(二軸延伸ポリプロピレン 厚み 0.03mm), 不織布マスク |
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使用機器 | 超音波ホッチキス【はるる AUH30】 |
スズキ超音波ホッチキス 「AUH30」は標準装備のチップ(アンビル)をボルト1本でオプションのチップに
取り換える事によって用途に合わせた溶着が可能となるのも特徴の一つなのですが、どうしてもオリジナルの
溶着痕を残したいお客様やより深くまで早く貼り付けたいお客様、訳があってオプションチップが使用不可な
お客様向けにオリジナルの特殊チップを製作することも可能です。 別途費用も必要ですが、こだわりのある
溶着をご希望のお客様はお試しいただければと思います。
まずはオプションのチップ(在庫品)をご紹介します。
標準チップ E(右端)から左へ溶着面積が大きめのチップ X 、瞬間的に細く深く溶着が可能なチップM
ローレット条のライン溶着が可能なチップ RO 、ギアタイプのチップ GE です。
今回は、オプションチップを使用せず、お問い合わせの多いこんな形状のチップ(アンビル)を作ってみました。
チップ表面(端面)に格子状の模様を付けました。 表面(端面)寸法はホーンの外形に合わせ7.5mm×7.5mmです。
ボルト1本でホッチキスのハンドピースに取付けるとこんな感じになります。
溶着テストをしてみました。 素材は厚み0.03mmのOPPフィルムを6枚、16枚、32枚と重ねたものを使用しています。
結果は以下の通り、ある程度厚みがあるほうがはっきり溶着痕が残ります。 素材に溶け代が多いためです。
但し、このチップ(アンビル)には課題が残りました。一言で表せば「通常より溶着時間が長くなる」ということです。
6枚 = 標準チップで約0.2秒のところ約1秒
16枚 = 標準チップで約0.8秒のところ約1.5秒
32枚 = 標準チップで約1.2秒のところ約2秒でした。 やはり標準チップ並みの溶着速度は欲しい所です。
※ 対策方法を本文下に記載しました。
不織布マスクの溶着も試してみました。
OPPと同様の時間でした。 マスクはやはり小型超音波溶着機 AUH30CWがおすすめです。
【課題解決方法】溶着時間を短くする方法は?
・ 一般的に溶着は素材との接触面に於いて単位面積あたりにかかる圧力を高くなるよう(面圧を高める)に設計することで
溶着にかかる時間を短くすることができます。
したがって今回のホッチキスの場合、同じ力で握った場合を仮定すると以下の方法が考えられます。
1. チップ表面の格子模様の格子を間引く。
2. 格子模様の先端形状を細くする。
3. チップ先端形状を小さくする。
他にも方法はありますが、費用を考えるとお勧めできません。
今回は、ホッチキスでご要望の多い特殊チップを使用したときに発生した課題解決方法を取り上げました。
スズキマリン産業機器課ではできるだけお客様の仕様に適した特殊チップや特殊ホーンをご提案していきたいと考えますが、
お客様のご要望のみを聞いていると今回のような結果に繋がる恐れがありますので、お客様との打ち合わせを重ね
両者が納得できる妥協点を探していきたいと思います。中にはご要望に沿えない場合もございますがご了承をお願い致します。
お困りの案件がございましたらまずはお気軽にお問い合わせください。 お問合せフォームはこちらから(フォームにリンク)
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