マスク用耳紐(ひも)など軟らかい素材を超音波機器を使って綺麗にカットする方法 3選【動画有】
対象素材 | ポリエステル系 マスク紐(厚み約2mm 幅約3mm) |
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使用機器 |
超音波カッター【SUW-30CMH】 超音波溶着機【SUW300】 |
マスクの耳掛け用に使われる耳紐は化学繊維とゴムが上手く折り重なり耳が痛くならないよう柔らかく工夫されています。
この紐をカットするのにご家庭では鋏やカッターを使うのですが、上手く切れますか? 柔らかい為難しいのではないでしょうか?
マスクの製造現場ではこの耳紐のカットに専用機に組み込まれた大きな鋏のような切断機やスリッターという回転刃を利用する事が多いようですが課題も多いようです。 何故なら耳紐はマスクに付けてはじめて機能するものであるため、耳紐の糸がほつれることや広がる事のないよう綺麗にカットする必要があるからです。
今回は当社超音波カッターや超音波溶着機を使用した三つのカット方法をご紹介します。
素材としたマスク紐は市販のマスクから外した平織りひもで厚さ約2mm 幅約4mmの物を使用しました。
① スリット型 超音波カッターを使う方法
通常のカットでは超音波カッターを使用しても糸残りや糸引きが見受けられるため、0.7mmのスリットを空けた治具を用意しカッター刃を通す形です。
・ カッター : スズキ超音波カッター SUW30CMH
・ 替刃 : H4 (刃厚 0.5mm 材質 SKH 有効刃長 15mm)
・ 送り速度 : 約1,000mm/秒
・ 切断結果拡大画像
・ 動画
② ギロチン型 超音波溶着機を使う方法
スズキ超音波溶着機SUW300は溶着だけではなくカッター用特殊ホーンを取り付ける事でカッターとしても使用可能です。
今回はカッター用特殊ホーンに超音波カッターSUW30CTL用替刃である L3 を取り付けてテストしました。
・ 連続カットをしてみました。 刃の移動(下降)速度は約300mm/秒です。
・ 動画
・切断結果拡大画像 (紐は約2mm×4mmです)
③ コラボ型 超音波溶着機を使う方法2
従来の発想とは全く違う超音波溶着機を使用した提案です。 スズキ超音波溶着機 SUW300 に特殊ホーンをセットし、治具に取付けた事務用カッター刃と組合せて手動でマスク紐を通します。 市販のカッター刃を使用することでランニングコストを抑える事が可能です。
手動ではなく自動送りを組み合わせる事で能力が向上します。
・ ホーンと刃の角度がポイントとなりますが、上手くセットすると下の動画のようなカットが可能になります。
・ 切断結果拡大画像
・ 動画
◇ 結果と課題
どの方法でも綺麗な切断面を得る事ができましたが、なかなか一筋縄ではいかず奥が深いことが分かりました。
いずれの方法も細かいセッティング方法は記していませんが、セッティングの方法で大きく結果が変わります。
掛かる費用と課題はそれぞれの違いますが、共通する課題は素材である耳紐にかける張力の設定と、耳紐にも多くの種類が
あることでそれに合ったカット方法を検討する必要があることです。
・共通の課題以外で苦労した点 = 重要なポイントは以下の通りです。
① スリット型: スリットの幅と刃巾とのバランスと送り速度
② ギロチン型: 刃先と敷板とのクリアランス
③ コラボ型 : 下刃の取り付け角度、ホーンと下刃のクリアランス、ホーン材質と端面のR
◇ ご注意
・ 今回の結果は、当社所有のテスト用機械にセツトしテストした結果であり、取付ける機械・治具等により結果は変化します。
・ 耳紐の種類によっても最適な方法は多々あるかと思いますので上記を参考にしてテストいただけたら幸いです。
・ 下敷き等使用する周辺素材によってホーンや刃先の摩耗具合が変化し結果も異なります。
・ 今回の結果は当社超音波機器の性能を保証するものではなく、様々な取り組みを掲載しているにすぎません。
導入に向けては安全に配慮し充分なテストを重ねて下さい。
※ スズキマリン産業機器課テストチームはできるだけ標準品を使用し低コストで導入可能な方法を追求しております。
こんなものは超音波を利用したら切れるかな? 貼り付ける事は可能かな? と感じたら下記のサンプルテスト依頼/デモ機依頼
等を利用し試していただく事でお役に立てたらと思います。
<お問い合わせはお気軽に>
スズキマリン産業機器課 直通ダイヤル 053-440-2306 、お問合せフォームはこちらから
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